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MARQUEE BEACH CLUB – Royal Blue – 映像演出
2024
00:17:14
茨城県出身のバンド MARQUEE BEACH CLUB の10周年ライブ「Royal Blue」にて、70分のライブ全編に渡って映像演出をした。
ライブはバンドの地元、水戸市民会館のホールにて開催された。
私は以前より、音楽と対等な存在としてのビジュアル「ビジュアルミュージック」を探求しています。
音楽を奏でるように「映像を奏でる」ことはできないのか? とよく考えています。
このライブは数年にわたる探究の成果であり、一旦の集大成でした。
映像の制作は、私が「DTV(デスクトップビジュアル)」と呼ぶやり方で行いました。これは「DTM(デスクトップミュージック)」に触発された考え方で、PC1台でライトにビジュアル制作を行うことを指します。
今回はまず、c++のコーディングをして、ビジュアルにおけるシンセサイザーやリズムマシンのような簡易ソフトウェアを大量に自作し、音楽を聴きながらPCのキーボードを叩いて「ビジュアルを演奏」しました。
(これは昨年よりプロダクトデザイナーの長谷川泰斗氏と共に進めている「映像を奏でる楽器」開発の一環でもありました。)
そして、それらの演奏の画面録画をAfter Effectsに配置して編集しました。これは、After EffectsをAbleton LiveのようなDAWとして用いる感覚です。
After Effectsはただのエディターであり、モーショングラフィック自体の制作は全てコーディングで行なっているため、結果的にほぼ全編がリアルタイムに実行可能な映像で構成されることとなりました。これにより映像が帯びる生感、ライブ感はお客さんにも伝わるのではないかと考えています。
ビジュアルミュージックは、オスカー・フィッシンガーやジョン・ホイットニーなどの先人がフィルムの時代から探究を重ねてきた分野です。
彼らは映像という技術を、抽象的なイメージを動かすことで音楽のようなグルーヴ体験を作り出せるもの、と捉えていたのではないかと思います。
今回は、その文脈を現代のコンピューターとクリエイティブコーディングによりさらに推し進め、同時に、バウハウスに端を発する構築的で構成的なグラフィックデザインを、音楽ライブにおいて全面的に展開してモーションさせる試みでもありました。
今後もこのビジュアルミュージックの探求を続け、映像技術を文化的な装置として使えたらいいなと思います。
そして、この映像を受け入れてくれたMARQUEE BEACH CLUBに感謝します。