Creator Grant
はじめに
2005年より毎年刊行されてきた、日本の映像クリエイターを紹介する書籍『映像作家100人』は、オンラインへと移行して以降、その活動を拡張してきました。私たちがその活動を通して見つめてきたのは、個人の作家から企業に至る多様なプレイヤーたちが生み出してきた豊かな創造性です。そうした表現の背後には、未だ可視化されていない映像表現の可能性に挑み続ける、無数の小さな営為の存在があります。
そして「次なる映像の可能性」を探求する実践と成果物を紹介する役割を担ってきた『映像作家100人』が、新たに着手するのが、そのような映像制作の現場で日々格闘しているクリエイターたちの持続的な活動を支援するプロジェクトです。「CREATOR GRANT」は、クリエイターによる創作計画と作品発表を対象とした支援プログラムです。対象は一件と小さな規模の支援になりますが、初めての試みであるこの支援の枠組みを今後も続けていきたいと考えています。次なるアイデアを携えたクリエイターの皆さんからの応募を、心よりお待ちしています。
企画概要
主催:映像作家100人
期間:2025年〜2026年(公募・選考・支援・発表を含む)
対象:
- 国内外の個人またはグループによる映像プロジェクト(長編・短編・インスタレーション、あらゆるジャンル)
- 作品コンセプト・制作計画
- その他の助成対象になっていない作品
- 映像領域における「可能性の拡張」を探求する作品
助成総額:40万円(1件のみ)
背景と目的
映像の可能性の拡張を探求するプロジェクトを支援し、次代の表現者たちの持続的な活動環境の創出を促進する。
応募・選考プロセス
- 公募概要公開(Web・SNS)
- 応募受付(企画書+参考映像+予算・スケジュール等)
- 選考:審査員による選定
- 助成決定:40万円の助成金を配分
- 成果報告:制作支援後の完成作品を上映
選考基準
以下の3点を重視して審査を行います:
- 映像表現の拡張性:映像という形式や体験を更新する、新しい視点や方法を備えているか
- コンセプトと実現性:企画の意図が明確で、限られた予算・期間での実現が可能であるか
- 独自性:他にはない発想や構造、まなざしがあるか
スケジュール
- 2025年8月1日~31日
- 公募・応募受付
- 2025年9月~31日
- 審査、作品決定
- 2025年10月
- 助成金交付、制作スタート
- 2025年10月~2026年3月
- 制作支援(中間報告)
- 2026年4月
- 上映会(NEORT++)
審査員プロフィール
庄野祐輔(編集者、デザイナー、キュレーター/映像作家100人編集長)
自主メディアの運営に携わる傍ら、展覧会のキュレーションにも数多く携わる。携わった展示としては、PHENOMENON: RGB展(Laforet HARAJUKU)、Proof of X – Blockchain As A New Medium For Art -(THE FACE DAIKANYAMA)、Web as a Medium (NEORT++ and Objkt.one)、Machine-Made Aura展などがある。オンラインに生息する様々な文化の情報を探求/発信し続けている。
NIINOMI(メディアアーティスト/NEORT株式会社ディレクター)
プログラムをはじめとするコンピューターテクノロジーを駆使した新しい芸術の可能性を探求する。近年は、アルゴリズムによって機械的に出力をし続けるシステムそのものに美的価値を見出しており、”System as an Art”をテーマに、芸術作品を生成するシステム自体を芸術とする活動を行う。
田中大裕(アニメーション研究者/新千歳空港国際アニメーション映画祭プログラムアドバイザー)
東京在住。アニメーション研究者。「tampen.jp」編集長。「新千歳空港国際アニメーション映画祭」プログラムアドバイザーおよびコンペティション各部門選考委員。シー・チェン監督作品『鶏の墳丘』日本配給。シー・チェン日本初個展「Mythos in Ink: A Symphony of Creatures and Contradictions」(CALM & PUNK GALLERY)企画協力。「毎日映画コンクール」アニメーション部門(大藤信郎賞)選考委員。その他、独立系アニメーションの上映、イベント企画・運営、執筆、講演など多数。
組織体制
審査員:庄野祐輔(映像作家100人)、田中大裕(アニメーション研究者)、NIINOMI(メディアアーティスト / NEORT株式会社ディレクター)
実行委員会:映像作家100人
助成:一般社団法人 MAM