五反田和樹

Kazuki Gotanda

五反田和樹

Belong to
株式会社シグノ
Profile
1981年 広島県生まれ

学生時代に海外の映画や音楽、哲学、芸術運動に影響を受け、映画作家を志す。
時間や空間を切り取ってつなぎ直すことで生じる、誤解や不明瞭さ、偶然性や断片性に関心を持つようになる。
実写とコラージュを用いた映像表現を軸に、平面や文章などを行き来しながら、映画という形式に向かって制作を続けている。

Work

豆柴の大群都内某所 a.k.a. MONSTERIDOL 「Shout out to good show!」 LYRiC ViDEO
AnimationArt workExperimental filmMotion graphicsMusic videoMVPaper craft

豆柴の大群都内某所 a.k.a. MONSTERIDOL 「Shout out to good show!」 LYRiC ViDEO

2024
00:02:11
「下ネタ以外ならなんでも自由にやってください。」 というご依頼を頂き、楽曲と詩の世界観、テンション、造形がなるべく異形になるように意識した。 参考にしたのはスティーヴン・キングの『地獄のデビル・トラック』、サム・ペキンパーの『コンボイ』、ケン・ラッセルの『ゴシック』など、見ていて熱っぽくうなされるような作品。 特に巨大なものが猛スピードで走るバカバカしさと、何かしらの限界を突破したりミックスされて異形になってしまうもののイメージを主に表現したかった。 ゴシックの歴史を辿ればキリスト教の死生観から教会のゴシック建築に配置されたガーゴイルなどのモンスターに至るまで、夏と冬のように生と死が繰り返される感覚がある。常に私はアンビバレンツなものの同居に惹かれている。助手席のゾンビは常に生と死のアンビバレンツな状況を体現している。本人は死んでいるが「生身」と書いたTシャツを着ていたり、点滴を打ったりして死を受け入れたくないようだ。 手法としてはいつものコラージュだが、設定した世界観から逸脱しないように作るのは難しい。特にこだわったトラックの造形も正面、斜め、サイドである程度の整合性を保たなければ繋がらない。整合性の無さがコラージュのある種の特性だが、この気持ち悪いバランスの悪さがここ最近の制作の中でも最も刺激的で楽しかった。
The Ravens / 楽園狂想曲 Music Video
AnimationMusic videoMV

The Ravens / 楽園狂想曲 Music Video

2022
00:03:51
テーマを「アジール(聖域・自由領域)としての音楽」と設定。 歌詞にある五線譜(音楽)をアジール(自由領域)と捉えた。 歌詞では音楽そのものが持つ楽しみを気づかせるように呼びかけられており、またそこに身を委ねる事が取るに足らない普通の行為である事を歌われている。更に音楽を楽しむ事に制限があるようにすら錯覚する、昨今(コロナ禍)の情勢に対するアンチテーゼのようにも聞こえた。 しかし実際は音楽自体にそんな制限はない。作者や聴き手にとって常に自由であり不可侵であり聖域であり避難所でもあったりする中で、ただ好奇心をもって音楽を楽しむことの経緯をコラージュと寓意的な物語で表現することを目指した。 " アジールあるいはアサイラム(独: Asyl、仏: asile、英: asylum)は、歴史的・社会的な概念で、「聖域」「自由領域」「避 難所」「無縁所」などとも呼ばれる特殊なエリアのことを意味する。ギリシア語の「ἄσυλον(侵すことのできない、神 聖な場所の意)」を語源とする。具体的には、おおむね「統治権力が及ばない地域」ということになる。" -Wikipedia " 犯罪人や奴隷などが過酷な侵害や報復から免れるために逃げ込んで保護を受ける場所のこと。ギリシア語のasylos (害されない、神聖不可侵の意)に由来する。国家刑罰権がまだ組織的、体系的に確立していなかった前近代では、 ほとんどの社会でみられた制度である。本来この制度は、聖域に入った者に害を加える(復讐( ふくしゅう) する) ことは神を冒涜( ぼうとく) するものという原始宗教観念に基づいていた。古代ギリシアでは、神殿は虐待( ぎゃく たい) を受けた奴隷や犯罪人、債務者を保護する場所とされ、神殿に逃れて神の保護に入った者を取り戻したり、こ れに制裁を加えることは宗教的罪と考えられた。" - コトバンク 今作で意識したのは実写のカットのみでなくモチーフごとのカットを頻繁にすることで領域を曖昧にする事だった。
Creepy Nuts / 堕天 Music Video
AnimationArt workMusic videoMV

Creepy Nuts / 堕天 Music Video

2022
00:02:50
過ちによって出会い始まっていくという、一見ネガティブにも思えるイメージを逆転してポップでポジティブに見せる演出を目指した。 生きていく上で間違いや過ちは誰もが犯すものであり、その時の判断が正しいかそうでないかは周囲の状況やタイミングによる。 実際は何かが起きてそれを飲み込んで把握するまでには時間差がある。その渦中で起きる一見不可解で白黒つけられない状況を過ごすことは多い。そうやって転がるように落ちていきながら「これも人生、しかし惹かれるものがあり、悪いことばかりでもない」というイメージを直接的に歌詞に合わせながら表現。 抗えず没頭する事は正義でも悪でもなく人間のどうしようもない側面であり、それはミスでもあれば欲望でもある。そこからまず「サーカスで空中の技をミスする」画をイメージ。またサーカスというのはツアーであり、その間に芸人同士で泥沼の恋愛沙汰が起きるというようなイメージも若干頭にあった。 また天から地へ落ちるという点とポップミュージック×ヒップホップという事で最初に想起したものはヴェンダースの『ベルリン 天使の詩』、アメリカのポップアートだったのでそれらを参照。 エドワード・ホッパーのナイト・ホークスの引用はタイトルが『夜ふかしする人々』(本作品はTVアニメ「よふかしのうた」のテーマソング)である事に加え、ヴェンダース作品で頻繁に引用されることにも由来する。 他にもポップアート的なシルクスクリーンプリントのイメージやロメール・ベアデンのイメージを参照している。 またCreepy Nutsを知る上でその間口の広さ、特にバラエティ番組での露出なども意識し、ルーレットは「ジャングルTVタモリの法則」、懺悔は「オレたちひょうきん族」をイメージしている。