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劇場映画

骨嚙み(Trailer)
2DAnimation劇場映画

骨嚙み(Trailer)

2021
00:00:55
本作品はしまなみ海道を舞台に、初めて死と向き合った過去の体験をアニメーションとして制作しました。 日本に点在する地域には「ほねかみ」という言葉があり、火葬後に骨を食べることで死者を一部として取り込み、哀傷を乗り越えようとする風習があります。のぞむとのぞまないに関わらず、私の故郷にはその風習を持つ家族がいました。初めての死は父のものでしたが、儀式として「ほねかみ」を試されるとき、私は骨を噛むことができませんでした。 そのことは、父の死と正面から向き会えず、どう受け止めて良いのかわからない経験として、子供心のトラウマになりました。空想の骨が喉につかえるように、言葉にできず、忘れることもできませんでした。 15歳で遠く小さい故郷を離れ、10年以上経ちました。 島の海岸部には火薬庫が今でも残されています。防空壕ではなく火薬庫が近所にあるという事実は、死や無慈悲な暴力は、私にとって、受ける側ではなく、加える側として存在しているように感じさせました。 大人になってこれらを思う時、私は父の骨と火薬庫の火を結び付け、もう一度「ほねかみ」と向き合ってみようと思いました。 島の景色や海は生命に溢れ、穏やさの中に変わらぬ厳しさがあります。死者たちの面影は、今も昔も同じ時空のなかに存在しています。 本プロジェクトを通して、生死の境界を曖昧にしていくことで、かめなかった骨との対峙にしたいと考えました。 本プロジェクトの視覚的コンセプトは、自然の風景とこどもの記憶の融合として、点の集積で記憶を視覚的に立ち上げることでした。そのため、色ペンを用いて紙の上に点描(dotting)を重ね、カメラの下で透過光の上に紙を重ねて撮影しました。それによって、記憶のおぼろげさや子供の心情を、光の色の粒として技法に託したいと思いました。

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