AnimationCGEventInstallation
光と霧のデジタルアート庭園 / Digital Art Garden
2018
00:01:09
作品について
「暑さ厳しい真夏に涼やかさを堪能する」ということを、日本人の感性が育んだ伝統的手法のオマージュにより、現代的なアート体験として再構築することに挑んだ。かつての日本人は五感の可能性を活かし、冷房のない夏を楽しんできた。日没、日本の庭先、縁側(エンガワ)、打ち水、涼風など、日本の夏の原風景たる要素。それらを開催場所であるTOKYO MIDTOWNの「東京の真ん中でいちばん気持ちの良い場所になりたい」というコンテクストとへつなぎ、ダイナミズム、エンンターテイメント性を加え表現したものが本作品である。人々は、都会の真ん中に現れた「懐かしさ」と「新鮮さ」が融和した空間へ自らを投じ、実際の温度だけではない、五感に染み渡る「涼」という日本的な刺激体験に酔いしれていた。
本作品は、リアル空間における体験に特化したクリエイティブカンパニー HakutenとWOW、TOKYO LIGHTING DESIGNが手掛けた。WOWはクリエイティブディレクション及び演出を担当。
展示について
2018年7月13日(金)から8月26日(日)まで東京ミッドタウンにて開催された「MIDTOWN LOVES SUMMER 2018」の一つとして公開された。本展示では、まず「日本の夏の涼」というテーマで、東京の真ん中、多種多様な人々が溢れ、常に賑わいがやまない六本木という街において、新たな夏の楽しみ方の提案が求められた。私達は、夏の暑さをも風情として楽しもうとする、日本人が本来持つ豊かな感性からアプローチした。
庭に面した縁側(エンガワ)※1 に座り、虫の声を聞き、花火を愛でて、親しき人と夏の夜を楽しむ。そんな感性豊かな日本の夏の原風景を現代的に再構築し、新たな夏の風景をつくりだすことへのチャレンジである。
その場を構成するのは、約2,000㎡もの、都会の中心に在る、広大な芝生の「広場」。ステージでありフレームでもある20m✕40mの巨大な「縁側」。刻々と変化しその瞬間だけの空間を作り出す「霧」。そしてその場を彩る、約6,000灯のLED照明を制御した「デジタル花火」の映像。
体験者は縁側に佇みながら、足元に広がる日本の夏の映像を楽しみ、涼を実体験する。常に変化し続け、同じ表情を二度と見せることのないプリミティブな霧の表情と、デジタライズされた花火の光は、飽きること無く見続けることができる場を生み出す。この作品は、夏の夜と混じり合い、暑さと共に訪れた人のココロも体も涼やかにしてくれる体験となった。
※1:縁側(エンガワ)とは、日本の和風家屋の独特の構造で、屋内と屋外の境界的な空間であり、腰掛けて外の風情を楽しんだり、家族と談笑するような、豊かな暮らしを象徴するような場所。