2024年10月に東京で開催したHiromu Oka個展「SAVE POINT」で制作された映像作品。
実家に眠っていた30年前の8mmビデオテープをデジタイズし、全てのフレームを紙に印刷。
デジタイズされたビデオテープを再生しながら、体の記録と脳の記憶を照らし合わせるように、
覚えていることは大きく、あまり覚えていないことは小さく、6500枚以上のフレームを紙に印刷した。
場面によっては、その記憶にイメージを描き加え、装飾を施し、記憶を補完した。
記録にインタラクティブに関わる行為自体が、記録というデータを記憶というビジュアルにレンダリングする感覚だった。

幼少期の朧げな記憶。
昔住んでいた家にあったカーペットの柄、もう顔も名前も覚えていない友達の声、膝枕した時の母の温もり。
視覚的な解像度は低くても色や音、空気感や質感は鮮明に覚えているこれらの感覚が
紙に大小さまざまなサイズで印刷されアニメーションする時、単なる高解像の美麗さとは違うオーガニックな質感を鮮明に映し出す。

これは、私の「記録」が「記憶」に再編集される過程を映し出す作品であり、記憶を作品としてセーブするという行為でもある。


▼詳しい解説やアプローチは以下のリンクにて解説しています。
https://hiromuoka.com/savepoint