FRENZ 2025にて出展、公開した「制作者が放棄した世界の崩壊」をテーマとしたMVです。
楽曲の解釈を拡大し、「制作者によって一度生み出された世界が、制作者の挫折によって放棄され、そのまま崩壊を始めたら」、という仮定の下、生み出されたキャラクターの心情や生死、キャラクターと制作者の謁見など、メタ的な視点からストーリーを組み立てました。
MVとして音と歌詞に合わせつつ、ストーリーを展開しました。

作中で繰り返し使用される風景は、制作者が生み出したロケーションと、その手詰まりを表しています。
放棄された結果、地は荒れ果て、建物は正しく表示されず、同じシーンを繰り返し映し出します。

作中ストーリーに登場する人物は「キャラクター」と「制作者」の2人です。
崩壊する世界において、キャラクターの動きが描かれることはないので、基本的にキャラクターは崩壊に喘ぐだけです。
死が描写されるわけでもなく、かといって生きてるとも言えない、ただ時間を過ごすだけの状態です。

楽曲のサビにおいては、キャラクターと制作者、つまり世界の神との謁見を表現しました。
キャラクターが制作者に「（この世界を）愛しているのか、嫌っているのか」などの質問を繰り返すシーンになっています。
また、このシーンで使用するイラストは、キャラクターなのか制作者なのかあえてわからないようにしています。
崩壊する世界のキャラクターにも、表情や立ち姿からして、降臨した神のようにも見えるようにイラスト担当に描いてもらいました。
愛をこめて生み出したキャラクターとは、もはや制作者にとって自分自身と言えるものでした（という設定です）。
質問が自問自答のように見えるよう、キャラクターが制作者に質問しているという設定ですが、あえて1枚のイラストにその役割を集約しています。
キャラクターと制作者の会合において、背景や位置情報といったものは存在しえないので、背景はデータモッシュなどを使用したバグの表現で埋めています。

最後に一瞬現実の映像を用いることで、メタ的な作品であることを示しています。
FRENZ 2024にて出展した『幸せ者』にて使用した映像の別のシーンで、これはiPhoneで自ら撮影したものです。
同氏の楽曲を用いた前作とのつながりを感じさせつつ、
作中のような出来事が、この現実にも.......といった表現です。

※著作権情報について追記です。
原曲はUTAUを用いた楽曲となっていて、原曲自体のJASRAC登録はされていないはずですが、
アーティスト名が「ＵＲＯＭＴ」となっている、おそらくカバー音源の登録を発見いたしましたので、
一応記載してあります。
制作や公開に際して、A_II様にご連絡を取り、直接許諾を頂いております。