入口に向かって吹き込んだ声が、光のラインとなってテーブル上の道を駆けまわります。 それぞれの道すじを辿り、やがて出口に到着した音のラインは、高い音になったり、ロボットの声みたいになったり、コンサートホールのように響いたり、多様な変化をしてまた音に戻っていきます。 色々な声を吹き込んで、音の「行方（ゆくえ）」を楽しめるインタラクティブ展示です。声色が変わる、という意味合いでカメレオンっぽさも入れて「ユクエオン」という名前になりました。

穴に向かって言葉を吹き込むと、声から形になった「言葉」がひとりでに歩きはじめ、広場を自由に動きまわります。「ありがとう」と言うと頭に花が咲いたり、「ばかやろう」と言うと牙と尻尾が生えたり、「うわさ」と言うと羽が生えて空を飛んだり、言葉によって変化する様々な姿とともに楽しめます。 言葉に話し手の感情や人間性が表れる様子を、まるで言葉自体に意思が宿っているように感じたことをきっかけに制作した体験型作品です。家に帰ってから思い出したり、ほかの人に伝えたり、心にずっと残っていたり、言葉は一人歩きをはじめ、ときに花のように優しく寄り添い、ときに獣のように牙をむき、ときに鳥のようにたくさんの人のもとへ広がっていきます。 そういった言葉についての想像や、言の葉、言の羽、言端、言魂といった言葉の語源に纏わる事柄をモチーフとして取り入れ、ひとり立ちした「言葉」たちの世界を形にしました。

壁面に手を近づけて動かすと、万華鏡のように多面的に複数の花びらが描かれ、絵を描くことが得意な人も、あまり得意じゃない人も、 誰がどのように手を動かしても個性的な花の形が生まれます。 どんな人のユビサキにも可能性の花が咲く。咲いた花が集まってできた場所はどんな景色をしているでしょうか？ 少しずつ広がり、彩りを変えていく花畑に、そんな想像を重ねて制作した参加型インタラクティブ作品です。