Interview with Teppei Kuroyanagi

  1. 映像制作の現場に携わる前に、どのように、何を学びましたか?
    高校を卒業し、就職も進学もせずに道路の交通警備員を数年していました。先輩のおじさんに手旗の振り方を教わったのが初めての映像体験だったと思います。瞬間的な動きで端的に相手に意思を伝える技を知りました。
    警備員で貯まった150万円で、漫画喫茶にこもり、家にも帰らず漫画を読む体験を1年間。フィジカルを離れた漫画の世界は、脳内を満たし、実態のないフレームを拡張して全能感を手に入れました。全能感を手に入れた僕は、身体を取り戻すべく工事現場(ストリート)にもう一度戻り、ラインマンという職業につきました。ラインマンは道路の区画線(止まれ・一時停止)などを書き込む仕事です。直接的にパブリックなタギングをしていく感覚。流線的な「センターライン」や「止まれ」などを何度となくストリートに打ち付けました。僕の師匠の鈴木さんの描く「R(カーブ)」や「止まれ」が本当に美しく、地平に広がる芸術を眺めるたびに自分の小ささも感じたのです。ジャズでいうインプロビゼーションのように瞬時にその場の空気を掴み、場所性を引き出しながら描く鈴木さんの「止まれ」に僕は滝のように感動し、美意識が揺らいだ。自分ももっと美しい「止まれ」を描きたい、もっと心が踊る「R(カーブ)」を道路に打ち付けたいと感情が溢れ、デザインの学校に入りました。長くなりましたが、それが僕の学びの根元になります。
  2. 作品作りにおいてどのような部分に力点を置いていますか?
    最近は企画がとても楽しいです。
  3. 論理と直感どちらを信じますか?その理由はなんですか?
    天動説と地動説。地球は自転してると言われているが、自分の体験・直感では自分の周りを星々が回っている感覚を信じています。直感はある種「自分の目」 論理は「相手の目」どちらも大切だと思います。実際に直感的に動くこと、それを論理的に言語化すること、振り子のように何度も繰り替える事で、全体の見る目を養う。世阿弥でいう「離見の見」を意識して作品をつくっていきたいなと考えています。本当の所は「分からない」という感覚を捨てない事を心がけています。
  4. あなたの好きな世界観はどのようなものですか?またそれをどのように作りこんでいきますか?
    「隠しきれないアジアの血」というのが、テーマの1つでもあります。
    以前は西洋のデザインやミニマムな世界観に没頭していました。学生の時にスイスのチューリッヒに行った時に、街そのものがグリットデザインで構成されている感覚に陥って、ひどくショックを受けた事があります。余分なものを削ぎ落とし、ホワイトスペースを生かしたデザイン。小さな看板から街全体までデザインされた感覚。日本に帰国した時にパチンコ屋やドンキホーテ、スーパーのチラシを観て、僕らのデザイン・アイデンティティは既に隣にあった事に気づいたのです。それは蛍光灯文化のアジア圏全体をカバーする西洋では更新しきれなかった価値観だと旅をして確信しました。
  5. 最近お気に入りの余暇の過ごし方は?
    座禅とサウナとドンキホーテ。
  6. 今後、挑戦してみたいことはなんですか?
    お寺に出家したい!