Interview with Kazuhiko Okushita
- 映像はどんなふうに学びましたか?
大学で初歩的な映像ソフトの使い方を教えてもらった以外は、基本的に独学で映像を学びました。インターネットを通して海外プロダクションのデモリールやCMを見たり、まだできたばかりのYoutubeでMVを見てはどのように作られているのか調べたりしていました。また映像プロダクションで絵コンテを描くアルバイトをしたり、クラブでVJをしていました。
- 自分の得意とする表現のスタイルは何ですか?
一筆書きを軸にしたアニメーションやイラストレーション、ライブペインティングが多いです。アニメーションを作るときはロトスコープや3DCGも用います。本来の自分の持ち味は核のアイデアを考え、それに則して表現を変えていけるところだと思っています。
- 仕事場はどんな場所ですか?
自宅とシェアオフィスの二箇所で仕事をしています。どちらも机の上にはMacがあり、大抵散らかっています。
- ひとりで仕事をするのが好きですか?誰かと仕事をするのが好きですか?
どちらも好きです。大体はひとりで仕事をしていて自分と向き合うこのスタイルも楽しいのですが、誰かと仕事をして化学反応がのぞめるようであれば、今後は積極的に人と関わっていけたらと思っています。
- 作品制作において、影響を与えたものはありますか?それについて具体的に教えていただけますか?
初期のディレクターズレーベル3人、スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー、クリス・カニンガムの作品は衝撃で僕が映像を製作するきっかけを与えてくれました。佐藤雅彦さんの考え方や、Motion Theory、LOGAN、Mill、Psyopといった海外プロダクションからも多くの刺激をもらいました。絵画ではノーマン・ロックウェルに大きい影響を受けています。
- もっともインスピレーションを受けるものは何ですか?
日常生活の何気ない些細な事柄です。
- 今回提供いただいた作品についてコンセプトがありましたら教えてください。
デモリールです。普段はこのような映像作品やイラストレーションを制作しています。
- 提供していただいた映像について、テクニカルな部分について解説していただけますか?
ご覧の通り、一筆書きを軸にしています。アナログ、デジタル問わずどのようなメディアでも求められれば対応しています。技法でいうとロトスコープ、3DCGを使用しています。
- 尊敬しているクリエイターはいますか?それは誰ですか?
佐藤雅彦さん、川村真司さんを尊敬しています。
- 気に入っているツールはなんですか?
After Effects、Cinema4D、無印良品のゲルインキボールペン
- 好みの色彩は?
赤色です。NYに旅行に行った際、道端で赤いバラの花束が叩きつけられてるのを見てそれが美しくずっと印象に残っていて、それから好んで使うようになりました。
- 制作において、どのような部分に重きを置いていますか?
自分という最前列にいるお客さんを納得させれるものを作るように心がけています。
- 自分の代表作をひとつあげるとしたらなんですか?
かなり前の仕事ですが報道ステーションのOPです。月曜から金曜の5パターン制作しなければならない中で当時の自分の哲学をうまく5つの切り口で表現できたところが気に入っています。
- 制作のプロセスはどんなものですか?
アイデアを考え、絵コンテに起こし(場合によってはVコンテも作り)実写撮影をして仮編集、そこから作画をはじめて作画素材が仕上がり次第、二度目の編集を行い音楽と合わせて仕上げます。
- 自分自身の活動で、大事にしていることはありますか?
白いキャンバスに向き合う姿勢をなるべく崩さないようにしています。また常に学んでいくことも大事だと捉えています。
- どのように仕事を管理していますか?
Googleカレンダーとポストイットで管理しています。
- 人生のモットーはありますか?
先ほども書きましたが、白いキャンバスに向き合うクリエイターとしての姿勢が一番大事だと感じています。この姿勢を崩さず常に維持することで、自分に価値を見いだすことができ、自分を愛することができます。
- お気に入りの映画は?
「シカゴ」「レ・ミゼラブル」「ラ・ラ・ランド」といったミュージカル映画が好きになることが多いです。ミュージカル以外だと「セッション」を最近観てとても好きでした。
- あなたが美しいと思う瞬間はどのような瞬間ですか?
例えるのが難しいのですが、たくさんの凡庸なものの積み重ねの上できらめく小さな輝きのようなものを美しいと感じます。
- 表現において、重要視している要素はなんですか?
その時にしかない感情や思考、感性をうまく作品に落とし込むようにしています。
- 最近した仕事について教えてください。
gifアニメーションを作る仕事がとても増えました。SUZUKIやNewsPicks、Pigeon、楽天などのクライアントと仕事をしています。
- 気分転換にやっていることはありますか?
任天堂のスプラトゥーンというゲームをしています。他には海釣りに行って釣った魚を捌いて食べたり、森に行って鳥を観察したりしています。
- 最近感動したことはありますか?
道端を歩いているとオッドアイの野良猫がいました。とても美しい目をしていました。その時の出会いを作品にしたのですがその出会った一瞬を、何度も反芻できるような表現に落とし込めたので、手前味噌ながら自分がとても感動して、こんな夜もあるのだなと感じました。
- お気に入りの居場所はありますか?
金沢にある21世紀美術館です。特に好きなのはタレルの部屋です。
- お気に入りの映像作品について教えてください。
デビッド・オライリーのPlease Say Something。ローポリの角ばった3Dの画に感情がのっていて、そのバランスが非常に好きです。
- 仕事中に音楽は聴きますか?
大抵聴いています。
- お勧めの音楽がありましたら、教えてください。
Tychoというアーティストのアルバムはどれも擦り切れるぐらい聴いています。ボーカルはほとんどないエレクトロニカ、ポストロックです。気持ちをニュートラルにしてくれます。
- 将来の設計図はありますか?あなたのヴィジョンについて教えてください。
将来の設計図は今は全くなくなってしまいました。それよりも今目の前にある事柄に対して良い姿勢で取り組んでいく、ベストを尽くすことを念頭に置いています。